作製記6:電気編

引込線変更の効果

つくばソラカルファームでは、パワコンの分電盤から引込柱までの架空引込線が12mぐらいの長さがあります。設置当初、ここは三相3線で14sq(ケーブルの太さの規格。数字が大きい方が太い)のケーブルが使ってありました。支柱を沿わせる部分は、主に38sqですので、この部分だけが細いのが気になっていました。

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計算してみると、この配線による電圧上昇は、14sqを使った場合 3.9Vです。電圧上昇値は、標準電圧の2%以内(200Vだと4V)というルールなので、14sqでもぎりぎりOKではありますが、だいぶロスが出ることになります。実際、フル発電している時に触ってみると、暖かくなっているので、抵抗熱として逃げていることが実感できます。
(計算してみたい方は、"電圧上昇値簡易計算書"で検索してみて下さい)

38sqに変更した場合 1.6Vの上昇に抑えられますから、1.1%ぐらい送電ロスが減ることになります。20年間の売電額を考えると、かなりの金額になります。そこで、7月中旬、思い切って14sqから38sqへの変更をしてもらいました。その前後で、電力会社の売電メーターの数字と、パワコンの積算出力の値を比較してみました。結果は以下の通りです。

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やはり、変更後、大きく送電ロスが減っていることが分かります。まだデータが少ないですが、計算通り1%ぐらい改善している可能性もあります。
さらに、稼働中のパワコンでの系統電圧も、2V以上下がりますから、出力抑制がかかる確率も下がることになります。これは、数字として見るのは難しいですが、今後の売電量向上に貢献してくれるでしょう。

せっかくの発電をこんなところで無駄にするのはもったいないですから、発電所のオーナー、計画中の皆さんは、一度チェックしてみて下さい。

試運転

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10/7にいよいよ東電の連系工事が行われました。ここは、高圧の幹線から、140mぐらい離れているので、少し大がかりな工事になりました。高所作業車が3台来ています。

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パワコンとの接続も完了して、いよいよ試運転。系統連系開始操作をすると、かなり大きなファンの音と共に、送電が始まりました。太陽が出ているこの時は、ほぼ上限に近い、9.88kWが出ました。動作は完璧のようです。
今は、送電しても、売電にはカウントされません。もどかしいですが、あと1週間の辛抱です。

パワコンの日除け

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ようやくパワコンの上に日除けを設置しました。これからの季節は不要かもしれませんが、夏の暑い時期は、パワコンの温度が上がり過ぎると、止まってしまうことがあるそうなので、日除けは必要になります。なるべく温度が低い方が、機械も長持ちするでしょうね。

日除けは、ビニールハウスなどの農業資材で作ってみました。断熱性も上げるため、遮光ネット、除草シート、ハウス用ビニールの3枚重ね。軽くて安くて耐久性あり、農業資材は素晴らしい。農業と工業の融合です。

パワコン電気工事

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いよいよ、10/15の系統連系に向けて、工事も最終段階になっています。今日は、あいにくの雨でしたが、雨除けのブルーシートを張った下で、パワコンとパネルの電気工事が行われました。配線が少々ごちゃごちゃした感じですが、機能的には問題はないはずです。
後日、天気の良い日に、通電試験を行うことになるそうです。

ケーブル固定

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想像以上に手間取ってしまった配線作業が、ほぼ完了しました。最後の仕上げは、防草シートを細長く切って、巻きつけることにしました。耐候性も高い素材なので、10年ぐらいは持ってくれるのではないかと思っています。何より、安いのがいいですね。

軸受の部分は、動かした時にケーブルがこすれて傷が付く可能性があるので、PFD管に差し込むことにしました。これだけで、だいぶ安心です。

系統連係日決まりました! 10月15日です。

電圧チェック

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本日、全配線の接続完了しました。早速電圧のチェック。上写真は20枚直列の回路で、419.6Vかかっています。29回路の全配線で、きちんと電圧がかかることが確認できました。一発で、全パネル、全配線不良なしというのは、素晴らしい!

これで、とりあえず、機能的な部分の動作チェックは完了です。後の作業は、配線の固定、パワコンの日除け設置、ウインチの雨除け設置、アーム連結等。ようやくゴールが見えてきました。

ケーブル引き回し

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パネル、パワコンの設置が終わり、現在、配線作業を進めています。これが、想像をはるかに超える手間がかかっています。

ソーラーシェアリングの場合、パネル密度が低いので、必然的にケーブルが長くなりますし、延長しないと隣と繋げない場合もあります。また、パネルと同じ高さに引き回すので、全て高所作業になります。脚立の上り下りだけでも、膨大な作業量です。ケーブルの総延長は、2300mぐらい。長さを測るだけでも、気が遠くなってきます。

今回、接続箱付きパワコン5台を1箇所にまとめてしまったのですが、接続箱だけでも分散させた方が作業は楽だったかもしれません。

また、当初は、FP管に納めるつもりでしたが、40本程の束になったケーブルをチューブに通すのは、あまりにも困難であることが分かりました。遮光については、設置後に工夫することにして、とりあえず配線だけ進めています。

結局、8月にも終わらず、9月に突入。いつになったら、系統連係できることやら。

パワコン設置2

パワコン5台の設置が順調に完了……と思って、ふと設置マニュアルを見ると、両サイドを30cm以上あけなさいという記述を発見。あいたた、15cmしかあけてない。裏側が完全にオープンなので、熱がこもることはないと思いますが、何かトラブルが起こると困るので、移動することにしました。
しかし、支柱を中心に立ててしまったので、そのままでは干渉して設置できません。仕方なく、支柱1本を抜いて移動させました。段取り悪いですね。半日以上ロスしてしまいました。

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苦労のかいあって、きれいに等間隔に並びました。スペースは余裕を見て40cm。
しかし、これでまだ終わりではなく、稼動までに、直射日光を避けるための屋根を付けないといけません。細かいところに、手間がかかります。

パワコン設置

パネル設置完了で、ひと段落といっても、まだこれでは発電はできません。電気系統の作業が残っています。

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まずは、パワコン(パワーコンディショナーの略。ソーラーパネルの直流を交流に変換する装置)の設置です。フレームの材料は、余った単管、アングル、クランプ、検討用に購入したUボルトなどを活用しました。新たに購入したものはほとんどありません。

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パワコンは、1台60kg。一人で持ち上げるのは難しい重さです。40kgのパネル付き単管を設置するときに使った滑車をそのまま利用することにしました。ロープラチェットを、左右ちょっとずつ持ち上げていくと、難なくパワコンを持ちあげることができました。4箇所をボルトで締めれば完了です。

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今日は、5台のうち3台設置完了。この通り、すっきりと仕上がりました。
最終的に、中央の単管には400 300kg近い荷重がかかることになります。ブロック1個の基礎で耐えられるかどうか自信を持てませんが、シンプルに行ってみようと思います。
下の草刈りのことを考えると、柱は少ないに越したことはありません。